昭恵夫人付に全責任転嫁 森友“幕引きシナリオ”は完全破綻

昭恵夫人付に全責任転嫁 森友“幕引きシナリオ”は完全破綻
日刊ゲンダイDIGITAL 2017年3月25日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/202252/1

これぞ自縄自縛と言っていい。大阪市の学校法人「森友学園」の国有地激安払い下げ問題で、デタラメ答弁を重ね過ぎたためにドツボにハマり始めた安倍政権。「民間人の参考人招致は慎重に」なんて言っていたクセに、学園の籠池泰典理事長が「安倍首相から100万円の寄付をもらった」と明かした途端、対応を百八十度転換。参考人招致をすっ飛ばし、「首相を侮辱した」という仰天理由で籠池理事長の証人喚問を即決した。

まるでどこかの将軍様の国と同じだが、威勢がよかったのはここまでで、いざ証人喚問が決まると、質問者の順番を巡って〈与党は最後で野党さんから〉なんてグダグダ言い出す始末。

で、肝心の証人喚問では、民間人である籠池理事長に対し、自民党議員の口から出たのは、偽証罪や詐欺罪をチラつかせてあおりまくる「脅しすかし」の質問ばかり。籠池理事長=ワルのイメージを植え付けようと必死なのがアリアリだった。森友問題をめぐる国会答弁で、安倍首相は〈私や妻が関わっているかのような印象操作はやめてほしい〉なんて怒鳴っていたが、まずは身内議員を厳重注意するのが先だろう。自民党内では「証人喚問で籠池理事長を追い込む」なんて勇ましい声もあったらしいが、よくぞ言えたものだ。

森友問題で国を提訴した豊中市の木村真議員の代理人を務める大川一夫弁護士はこう言う。

「偽証罪にも問われる証人喚問で、籠池氏の話はそれなりの説得力があったと思います。安倍昭恵氏からの寄付金受け取りの説明についてもリアルで、とても作り話とは思えませんでした。少なくとも、やりとりを見る限りでは、偽証罪に問うのは困難だと思いますね」

■昭恵氏の関与は明白だ

森友問題は籠池理事長を証人喚問すれば早期幕引きが図れる――。安倍政権はこんなシナリオを描いていたようだが、証人喚問で新証言が次々飛び出したことで疑惑はさらに拡大。とりわけ、決定打となっているのが、国有地に関して「内閣総理大臣夫人付」の谷査恵子氏が2015年11月17日に森友側に送付したファクスだ。

〈財務省本省に問い合わせた〉〈予算措置を行う方向で調整中〉〈昭恵夫人にもすでに報告している〉

昭恵氏が国有地売却に“関与”していたという証拠をここまでハッキリと突き付けられれば、安倍首相だってグウの音も出ないだろう。ところが、24日の参院予算委では、シレッとした様子で「私の妻が関与したことにはまったくならない。むしろゼロ回答であり、忖度していないことが明らか」なんて詭弁を弄していたから呆れる。

森友学園の名誉校長のために公務として動いたと考えるのが自然

「昭恵夫人付職員が個人で作成・所有したもの」「夫人付職員個人が回答」

谷氏のファクスについて、参院予算委で菅官房長官はこう答弁していたが、これには驚きだ。要するにファクスのやりとりは、谷氏が個人的に行ったもので、昭恵氏とは無関係だった、と言いたいらしい。しかし、小泉元首相の首席秘書官を務めた飯島勲氏のように、大物政治家の秘書であれば、自身の判断で動くこともあるだろう。しかし、谷氏は単に経産省から出向していただけの役人である。「内閣総理大臣夫人付」の肩書で好き勝手に振る舞っていたとは到底思えない。「ミスター文部省」と呼ばれた元官僚の寺脇研京都造形芸術大学教授はこう言った。

「役人が勝手に動くということは絶対にありません。昭恵氏が自身のフェイスブックなどでも明かしている通り、谷氏は昭恵氏の秘書役だったわけで、仕事として公務で財務省に問い合わせ、回答を得てファクスを送ったと考えるべきです。しかも、谷氏は昭恵氏が塚本幼稚園で行った講演に随行し、名誉校長に就任したことも知っていた。つまり、昭恵氏が森友学園の“一員”だったことを把握していた。その森友学園側から『調べて』と頼まれれば、当然、昭恵氏のために動いたと考えるのが自然です。(菅官房長官の答弁は)すべての責任を谷氏に押し付けているようで、本人を侮辱していますよ」

ファクスの文面にあった〈当方として見守ってまいりたい〉の〈当方〉は誰か、と問われた菅官房長官は「当然、谷さんです」と答えていた。だが、なぜ、霞が関の一官僚が森友学園の小学校建設の推移を見守る必要があるのか。誰がどう考えてもあり得ない話だろう。

ハチャメチャ答弁は財務省も同じ。谷氏の問い合わせに対し、当時の田村嘉啓国有財産審理室長が懇切丁寧に説明していたことについて、佐川理財局長は「一般からもさまざまの問い合わせがあり、職員が自らの知識で答えている」「各職員が現場で丁寧に対応している」なんて答えていたからだ。財務省としては、決して「安倍昭恵案件」を意識したわけじゃない、国民からの問い合わせには親切に応対しただけですよ――みたいな言い回しだったが、ウソ八百だ。

例えば、日刊ゲンダイ記者の取材に対しても、まずは「紙(質問)を送れ」と高圧的な態度で迫り、送っても、その後ナシのつぶてはしょっちゅう。「担当者不在」を理由に“取材拒否”も当たり前で、何が「現場で丁寧に対応」なのか。

■卑劣で愚劣なペテン政権

要するに安倍政権は総力を挙げて女性職員に全責任を転嫁し、森友問題を葬り去ろうとしている。これほど卑劣で愚劣な政権は見たことがない。その一方で、渦中の昭恵氏はきのうもまた、北九州市で講演だからイイ気なものだ。「お騒がせしています」と涙ぐんだらしいが、涙を流すほど反省しているのであれば、自ら証人喚問に名乗りを上げればいい。雲隠れしたまま、フェイスブックで反論なんて非常識にもホドがある。元検事の落合洋司弁護士はこう言った。

「この問題は、海外でも『安倍首相夫人がウルトラナショナリストに100万円』――などと報道され始めている。もはや、政権として、このまま知らん顔できる状況ではありません。昭恵、谷両氏を証人喚問して徹底的に真相解明するべきです。記憶に沿って本当のことを言うのであれば、証人喚問など恐れる必要は全くありません。少なくとも、幕引きというわけにはいかないでしょう」

塗り固めたウソのために1人の公務員を犠牲にする。こんな人身御供を平気でやる政権が許されるはずがなく、さらに世論批判が高まるのは確実だ。そうなると、いよいよ現実味を帯びてくるのが政権ブン投げの再現だ。なるほど、確かに最近の安倍首相の顔色はドス黒さが際立ってきた。森友問題の早期幕引きが崩壊し、イラついているのだろうが、もがくほど、追い詰められていくのは安倍首相自身なのである。
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